(9月2日追記)
「てれびくん2022年10月号」「テレビガマジン2022年10月・11月号」8月31日発売されました。
『仮面ライダーギーツ』盛り沢山でしたね!
(8月13日記事公開)
8月25日発売「月刊ホビージャパン2022年10月号」、8月26日発売「フィギュア王No.295」、8月31日「てれびくん2022年10月号」「テレビガマジン2022年10月・11月号」が予約開始になりましたので。2022年8月下旬発売 特撮&ホビー雑誌情報をまとめておきます。
月刊ホビージャパン2022年10月号
2022年8月25日(木)発売:月刊ホビージャパン2022年10月号
【特別付録】「境界戦機 1/72 ウェポンセット HJ Ver.」プラキット
【総力特集】すべて見せます! 最新塗料の教科書
昨今、エマルション塗料や水性ホビーカラーのリニューアルなど、塗料環境が目まぐるしく変わってきています。これを機になじみの塗料を変えることを検討している読者や模型ファンも多いのではないでしょうか?
たとえばラッカー系から水性系、エマルション系など…。
そこで、次回の特集では改めて各種塗料の特性や特徴を、実践を交えて詳しくご紹介していきます。
これさえ読めば、すべての模型塗料の特徴が改めて分かります!
【好評連載】
●週末でつくるガンプラ凄技テクニック
●AMAZING WARHAMMER
●月刊工具 模型の入り口はいつの時代も工具から。
●超合金の魂
●Ma.K. in SF3D
フィギュア王No.295
2022年8月26日(金)発売予定:フィギュア王No.295
てれびくん 2022年 10 月号
2022年8月31日(水)発売予定:てれびくん 2022年 10 月号
<付録>
●仮面ライダーギーツ:超なりきりセット(デザイアドライバー・ハンマーレイズバックル、アローレイズバックル、ウォーターレイズバックル、立体マスク)!超本格派「デザイアドライバー」でギーツになりきれ!ベル
トの大きさは実物大の39センチ!
●仮面ライダーギーツ:ガンバライジングカード
<予告>
●仮面ライダーギーツ:ギーツ最新情報山盛り大特集!
●暴太郎戦隊ドンブラザーズ:最新情報ドン盛り!
●ウルトラマンデッカー:デッカー大特集!
テレビマガジン 2022年10・11月号
2022年8月31日(水)発売予定:テレビマガジン 2022年10・11月号
<付録>
●スーパーヒーロー ガトリングシューター
●仮面ライダーギーツ:なりきりセット
<予告>
●仮面ライダーギーツ:新たな仮面ライダーが誕生!
●暴太郎戦隊ドンブラザーズ:ドンオニタイジンがさらにパワーアップ!
●ウルトラマンデッカー:ミラクルタイプが大活躍!
Comment
:こんにちは‼フィギュア王no.295を見てきました。始めの方に、人形特撮番組”Xボンバー”の特集、仮面ライダーギーツの特集記事が載っています。またフィギュア王にしては、珍しく、”ドンブラザーズ”の玩具の特集記事が、載っています。ウルトラマンは、ツブラヤで配信している、ウルトラマンレグロスの記事が載っています。デッカーは、9月の放送分の紹介くらいで、怪獣大図鑑は、なかったです。メインの特集は、”スターウォーズ”です。次号の特集は、”Xボンバー”みたいです‼(特撮に関しては、インタビュー記事とかで、読む所、多しです。)
F王とTVくんは違う記事に上げてしまいましたが、定位置はこちらでしょうか。今さらですが、HJからです。が、2か月サボったのでUAUは3か月分上げさせていただきます。というのも今月でティガやゼロが登場するエピソードは完結なので(UAUの連載自体が完結のように読める文章もあり)。
HJ 8月号より。
【ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE STORY】(STORY:長谷川圭一、設定協力:谷崎あきら)
(ULTRAMAN SUIT, SEVEN SUIT, ACE SUIT, TIGA SUIT, ZERO SUIT, TARO SUIT 製作:只野☆慶、ZOFFY SUIT 製作:小澤京介、グランドキング製作:山田卓司)
・8U -英雄- 編 第三十二話 故郷なき者たち
ガタノゾーア召喚のための殺戮儀式が行われた5つの都市の空を埋め尽くしていた総数5万に及ぶ金属体が東京上空に集結、結合・協調・融合し、身長200mに達する超巨大異界獣グランドキングとなり、地上に降り立った。それをモニターで見た井出は、ガタノゾーアに匹敵する破壊神を生み出すこと、これが敵の切り札であったのだと考えた。井出は救いを求めるかのように背後を振り向き、マヤに抱かれた赤ん坊のユザレを見るが、彼女のオッドアイはモニターを見詰めたままで感情を読み取ることはできなかった。モニターの映像は、現地に残っている自衛官が撮影し有線で伝送されている。スカイホエールから脱出した堀井、中島、土井垣も彼らが救助していた。そこに映されるのは10倍以上の身長差をものともせず果敢に立ち向かうダイゴ/ティガの姿。さらなる恐怖のエネルギーを求めるグランドキングが目を付けたのが、身動きのできない人間が残されている病院ビルであることに気付いたティガは、最大出力のゼペリオンスピアでグランドキングの足を喉を単眼を斬り裂くが、その歩みを緩めるくらいの効果しかない。 ダイゴの脳裏に、嘗て地球星警備団として数々の危険な任務を共に遂行した戦友ソルカとダヤの笑顔が浮かぶ。ダイゴの故郷は、一人の男の狂気が異世界と繋がる扉を開き、そこから出現した夥しい数の異形の怪物が人々を喰らい、阿鼻叫喚の地獄絵図となった。異界の力に魅入られ心を闇に飲まれ怪物と化する人間もいた。地球星警備団の仲間であり愛し合っていたカミーラもその一人だった。最後の希望ユザレを守る戦いでソルカとダヤも命を落とし、ダイゴの故郷は滅亡した。ダイゴの脳裏に異なる笑顔が浮かぶ。それは共にイーヴィルティガやカミーラと戦いこの世界を守った、この世界のウルトラマンたちの顔だった。グランドキングの巨大なハサミの一撃がティガをビルの壁面に叩きつける。失いそうな意識に誰かが話しかける、「諦めるな」。ユザレとは違うその声は、自分も多くの仲間を殺され故郷を滅ぼされたが、この世界で掛け替えのない友を得たと語りかける。ダイゴはその名を問う。「ゼロ、俺はウルトラマンゼロだ」二本のスラッガーをグランドキングに放つゼロスーツ。ゼロスーツに宿る戦士の魂が、スーツ単独で転送装置を操作し東京に駆けつけたのだった。科特隊本部でマヤに抱かれた赤ん坊のユザレは、モニターに映るティガとゼロを見て笑っていた。彼らと同様に故郷を滅ぼされた経験を持つマヤには、二人の異邦人の心が通じ合ったことをユザレが感じ取ったことが感じられた。
しかし二人になったとて戦力差は縮まらず、病院へと向かうグランドキングの足をわずかに鈍らせることしかできない。ティガの消耗は激しく、薩摩次郎を欠くゼロも本領を発揮できない。ゼロスーツは薩摩次郎と出会った時の出来事を思い出していた。彼は、レギオノイドの大群に急襲されたダイブハンガーの建設現場で、戦火に逃げ遅れた女性を救うため最後まであきらめず命懸けの行動をとっていた。ゼロスーツに宿る戦士の魂は、その時、薩摩次郎と共に戦うことを決心した。当初は故郷を滅ぼし師を目前で殺した侵略者への復讐の道具でしかなかった次郎だったが、次郎の自分に対する気遣いを次第に知り、戦うために一番大切な感情を取り戻すことができた。自分に最も敵意を向けていたと感じていた諸星 弾も、氷結惑星で最期かと覚悟した際にマグマライザーに乗り救出に来てくれた。グランドキングの放つ光線が至近距離に着弾し炸裂する。地面に叩きつけられすぐには動けないゼロ。生身のダイゴは限界に近いはずなのに、ボロボロになりながらも身を起こすティガの姿が視界に入る。その時不意に、氷結惑星でかけられたものと同じ台詞が同じ声で聞こえてきた、「ギリギリセーフか」「だが随分と派手にやられたものだ」。闇の中いつの間にか着陸したサブビートルからセブンが歩いて来る。井手もその映像を確認し、ハヤタと進次郎にもこの危機が伝わっている可能性に希望を感じる。
「久しぶりだな、ダイゴ」手を差し出すセブン、「ああ」とその手を握り立ち上がるティガ。以前には見られなかった光景だった。「少し休め。まだ倒れてもらっては困る」と言うセブンに小さく頷くティガ。セブンは唯一科特隊指令室との通信を担っている自衛隊員の持つカメラにハンドサインを送る。その意を汲み取った科特隊本部からセブン用の兵装が転送され、十数挺のワイドショット、EXライフル、スペシウムソードが地面に突き刺さる。「押し返す。僕に続け」、セブンとゼロが武器を手に取り攻撃を始める。撃ち尽くす端からパージし次の一挺に手を伸ばす猛烈なラッシュにさしものグランドキングも歩みを止める。しかしグランドキングは長大な尾を持ち上げ先端の二本のロッドの先端から直径60cmはあるプラズマ光弾を四方八方に乱射し始めた。病院だけは守ろうとワイドショットで光弾の軌道を逸らさざるをえなくなり、攻撃どころではなくなるセブンとゼロ。 科特隊指令室のマヤが上空からの何かの飛来を叫び、その胸に抱かれるユザレも上を指して何かを伝える。闇空を切り裂き高速で飛来し東京都心に着陸した巨大な影、それは蛾のような翼を持つ異形の巨大怪獣だった。敵の増援だと思った井出が恐怖と怒りに呻いた時、その怪獣はグランドキングに襲いかかった。いつの間にかマヤの傍らに立っていたゼットン星人・エドが語る。怪獣はムルロア星に生息する生物「ムルロア」、地球で通信を妨害していたスペースモスはその幼体だが、エドもこれほど巨大なムルロアは知らないと言う。ムルロアは口吻から強酸を噴射しグランドキングを攻撃する。スペースモスもムルロアに加勢し鱗粉をまき散らす。ムルロアの意識をゼロスーツに宿る戦士とダイゴが共有し、さらに世界各地のデュナミスト・世界中の千人ほどの人間が、ユザレの精神を中継し共有する。ムルロア星もダークゴーネに侵略されムルロアは殺戮し尽くされスペースモスは兵器として利用するために大量に捕獲された。生き残り巨大化したムルロアの怒りと悲しみのビジョン。しかしグランドキングの前に、ムルロアは翼を焼かれ腕を引きちぎられた末に背中の神経中枢を叩き潰された。息絶える寸前のムルロアの脳裏には、大きな湖の湖畔に咲き乱れる花々の中を真っ白な無数のスペースモスが飛び交う美しい故郷で、暖かな光に包まれまどろむムルロアの姿が浮かぶ。そして光が消える。科特隊指令室にユザレの泣声が響いた。ムルロアの精神とシンクロしていたがために、胸の奥に抑え込んでいた、地球星警備団団長でありながら世界の滅亡を防げなかった悔恨や贖罪の念が堰を切り、未成熟な肉体ではその感情をコントロールできなかったのだった。そんなユザレをマヤが母親のように優しく抱きしめる。
ダイゴは涙を流し、ゼロスーツに宿る戦士も諸星も同じ感情を抱いていた。東京じゅうのスペースモスがムルロアを弔うようにその亡骸の上に降り積もった。空が晴れていき、通信が回復する。セブンが「倒すぞ」と短く言いスペシウムソードを構える。ティガとゼロも顔を上げる。「……ちらMAT、アロー01航空小隊。着陸許可を請う」「こちらファルコン。高度800で接近中。滑走路に空きはあるか」 矢継ぎ早に通信が入る。アメリカからは攻撃戦闘機MATアロー三機編隊が、ヨーロッパからは大型空中母艦TACファルコンが、東京を目指していた。「どこで道草を食っていた。とっとと降りて来い」、マッハ5以上の速度で地球を半周してきたことを承知の上での諸星の言葉だった。MATアローからはジャック、次郎、光太郎が、TACファルコンからは進次郎、北斗、ハヤタが地上へとダイブする。それぞれ空中でスーツを装着、薩摩次郎も空中でゼロスーツとランデブーする。一瞬整列しグランドキングと対峙した8人のウルトラマンは、即座に散開し攻撃を開始する。ウルトラマンが空中からグランドキングの注意を引き、ゾフィーが足元を崩す。エースが切断したビルをジャックとゼロが抱え上げ、グランドキングの横っ面に投げつけ、そこにタロウが炎で追い打ちをかける。息もつかせぬ連続攻撃にあきれるティガの前に、吹っ飛ばされたジャックが落下してくる。「よう、あんたがダイゴ? 俺はジャック。こう見えても──」ジャックの初対面の挨拶を遮るダイゴ「なるほど、パワーか」。ジャックスーツの姿と特長にインスピレーションを得たダイゴが、ティガスーツの額のクリスタルに触れる。ティガスーツは変形し、ジャックスーツさながらのマッチョ体形となり、体色もジャックと同じ銀と赤へと変わっていた。「──ナイスバルク」とジャック。「あんたは右を頼む」と言ったティガ・パワータイプは、グランドキングの尾の二つに分かれた先端の左側を抱え込む。ジャックは尾の右の先端に飛びつく。大きな掛け声とともに二人がかりでグランドキングを強引にスイング、全高238mのタワービルに背中から叩きつけた。グランドキング出現の瞬間を目撃していたティガは叫ぶ、「胸を狙え! ヤツはそこを中心に結合した」。「俺が行く」と名乗りをあげるタロウに、井出が新たな武器を転送する。タロウの手の中に槍の穂先を繋げたような武器・スペシウムランサーが出現した。背中のダクトから炎を噴出して、ビルにめり込んでもがくグランドキングに肉薄したタロウは、ランサーでその胸を真一文字に切り裂き露出した内部に渾身の炎を注入する。苦悶の叫びをあげるグランドキング。「下がれ、タロウ」というジャックの声に振り向いたタロウの目に、地上のジャックが組んだ両手を足場にして投げ上げられたティガ・パワータイプが、デラシウム励起されたゼペリオン光球を掴んだ姿が映る。タロウが後退し、ティガがグランドキングの胸に光球を放つ。さらにウルトラマンがスペシウムスラッシュを投射する。グランドキングの胸の中でゼペリオンとスペシウムが干渉し大爆発を起こした。断末魔の重低音が響いた次の瞬間、グランドキングは細切れの鉄屑と化して崩れ去った。
沈黙が満ちる科特隊指令室。そこに前線指揮所からの緊急通信が入る。モニターにはグレースーツの壮年男性が映し出された。井手がその名を呼ぶ「星野防衛大臣」。早田 進がエイリアン「ウルトラマン」と一体化していた時代に科特隊に出入りしていた少年、現職の防衛大臣であり、今回の自衛隊と科特隊との共同作戦の立役者だった。星野大臣は彼女の話を聞くようにと言って、ある女性に席を譲った。それはアメリカから到着したレネ・アンダーソンだった。日比谷公園に着陸したMATアローから降りた彼女はサウス、ヒルと共に自衛隊と合流し、前線指揮所に案内されていた。マヤに抱かれるユザレの存在をモニター越しに確認したレネは、自分がユザレの言葉を伝えることを宣言し、語り始める、「──彼らが今倒したのは敵の先兵に過ぎない」。その時、上海の時空歪曲点が消失したという報告が入り、ダイブハンガーからのライブ映像のウインドウがモニタースクリーン上に開く。レネが続ける「現れる。本当の、滅びの闇が……!」。「見て下さい!」進次郎が指さした先では、東京タワーの先端が激しいコロナ放電を起こしていた。その上空に時空歪曲点が浮かび、その中に異形のシステム「レーテ」とダークゴーネが姿を見せた。ダークゴーネが語る─ 収集していた恐怖はグランドキングによって遂に「レーテ」を満たし、世界を滅ぼす究極の闇の鎧が完成した、と。ドクンとレーテが胎動し幼虫から蝶が羽化するが如く暗黒のスーツ「DARK ZAGI」が誕生した。
HJ 9月号より。
【ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE STORY】(STORY:長谷川圭一、設定協力:谷崎あきら)
(ULTRAMAN SUIT, SEVEN SUIT, ACE SUIT, TIGA SUIT, ZERO SUIT, TARO SUIT, DARK ZAGI 製作:只野☆慶)
・8U -英雄- 編 第三十三話 時と生と死を覆う絶望の闇
「では早速、確かめてみましょう」、レーテから生み出された暗黒の鎧・ダークザギをダークゴーネが装着した。その刹那、起動音とも雄叫びともつかない不気味な音が響き、ダークザギの双眸に真っ赤な光が灯る。巨大なグランドキングさえ破壊した8人のウルトラマンだったが、ダークザギの外見とは釣り合わない強烈な威圧感に、迂闊に手を出せずにいた。ひとり飛び出しそうになるエースをティガが制止する。ティガはダークザギから自分たちの世界を滅ぼしたものと同じ、吐き気がするおぞましさを感じていた。獣のような叫びをあげ上空から8戦士に襲いかかるダークザギ。一瞬連携を乱した八人だったが、すぐさま互いの特性を活かした戦闘スタイルで圧し返し、八方からの連続攻撃を浴びせかけた。モニター越しにその光景を目にした井出は安堵するが、オペレーター席のマヤに抱かれた赤ん坊・ユザレのむずかる声が聞こえる。前線指揮所のレネ・アンダーソンがユザレの意識を代弁する、「時が、闇に飲まれる。って」。「戦闘エリアに局地的な重力変動!」、オペレーターからの報告があがり、崩れかけていたビルが崩壊し、破損し放棄されていた73式装甲車がぺしゃんこに潰れる様子がモニターに映る。それは嘗てイーヴィルティガやカミーラが異界への扉を開く儀式の際に起こした現象と同じだった。各ウルトラマンスーツには、当時の戦闘データから開発された、重力変動に対応し負荷を分散、平衡を維持するUGMシステムが実装されており、ウルトラマン達の動作への影響は致命的ではない。しかし次の瞬間に起きた出来事を誰も理解できなかった。
重力変動が発生した瞬間にジャック、エース、タロウが姿を消し、気付いた時には彼らは瓦礫の中に倒れていた。傍らの進次郎に注意を促していた途中で今度はゾフィーが姿を消した。ダークザギは時間を停止しウルトラマン一人ずつその記憶を読んで心の傷を抉りながら動けない戦士をなぶった末に倒していた。北斗は、夕子のために異星人と共生できる世界を創りたいたいと願う気持ちを、それに見合う力を全く持っていないとなじられ、地面に叩きつけられた。ジャックは、恩人と恋人を殺した異星人を執念で見つけ出し復讐を果たしたもののより虚しくなっただけだと見透かされ、やはり地面に叩きつけられた。レネがダークザギが時間を操っていることを指摘する。ゼットン星人エドがその原理を解説し、地球人は対抗する技術レベルには達していないことをまるで他人事のように宣言する。
タロウ、ゾフィー、セブンも同様にダークザギの手にかけられた。進次郎/マンの目前にダークザギが立っていた。ダークゴーネ/ダークザギは、進次郎の記憶を読み、何も失っておらず闇が見えない、と語る。「あるよ。俺にだって闇は。でも……」と反論しようとする進次郎に、「危険です。人間を危険だと感じたのは初めてです」とダークゴーネ。一方的にウルトラマンを殴り続けるダークザギ、「けれども怖くはありません。お前には何も出来ない。私に指一本、触れることさえも」、ウルトラマンは吹っ飛ばされた。ダイゴとユザレが精神で会話を交わす。ダークザギの能力を封じるには光の力しかないというのが二人の結論だった。その力は、自分達の世界を滅ぼした闇の眷属と化したカミーラ等を封印した時と、この世界のウルトラマン達と共に上海でガタノゾーアを封印した時に使用したが、その反動でユザレは赤ん坊にまで退行してしまっている。この世界の人間が未だ抱いている希望から、光を集めることができれば可能だ、とユザレ。しかしティガもダークザギに捕らえられ、世界を救えなかったことや戦死した二人の戦友のことをなじられながら無抵抗のまま倒されてしまった。
最後の一人ゼロの目の前に現れたダークザギは、そのスーツの中に二人の魂を感じ二人の記憶を読み取った。ダークゴーネ/ダークザギは語りかける、スーツに宿る魂の主が自分が滅ぼした星でただ一人生き残り時空歪曲点を通ってこの世界に逃げたことで、この世界を見つけることができた、と。そこでやはりこの世界に逃れていたダイゴとユザレを知ることができ、異界に潜む暗黒の邪神とその闇の力を知ることができたのだ、と。圧倒的な戦力で文明の破壊と侵略・支配を続けた結果、そのことに退屈を感じるようになっていた自分に、究極の恐怖と絶望をもたらす闇の存在を教えてくれたことに感謝する、その礼だと言って、ダークゴーネはゼロに一撃を加える。さらなる重力変動が発生、上空の時空歪曲点がどこかの時空とつながろうとしている兆候が観測される。次の瞬間、東京タワー上空の時空歪曲点から数百、数千のゾイガーが飛び出し空を覆っていたスペースモスを一気に食い荒らし始めた。時空歪曲点の向こうには天地が逆さになった上海市が、高層ビル群の中央に巨大な黒いピラミッドがそびえる、大爆発に巻き込まれて消滅する直前の時空の上海市が見えた。そして黒いピラミッドからは既に長大な触手が伸びて高層ビルを薙ぎ倒しており、邪神ガタノゾーアの実体化が始まっていることが伺えた。井手は手元のタブレットで上海で起きた惨劇のタイムテーブルを検索し、15分後には科特隊本部も時空歪曲点の向こう側の上海で発生する大爆発に巻き込まれて消滅することを知る。前線指揮所の星野防衛大臣に避難を促す井出だったが、星野大臣の「せっかくだが、とっくに肚は括っている。ここで諦めるつもりはない」という言葉に遮られる。星野大臣の毅然たる態度に、その背後の補佐官たちも居住まいを正す。井手も状況の精査にとりかっかった。
ゼロスーツに宿る戦士が薩摩次郎に、ダークザギに対抗できる唯一の方法を伝えようと語りかける。ゼロスーツに宿る戦士には、自分を本来存在していた時空に戻そうとする力「時空復元力」が蓄積されているのだという。ゼロと次郎との会話は残る七人の戦士にも科特隊司令部にも聞こえていた。エドもその可能性を肯定する。井手は手元のタブレットで急ぎ計算し、時空歪曲率の反転を抑え込むことができるかもしれない、と発言する。時空復元力をこの戦いに使用することはゼロが自分の世界に戻る術を失うことを意味しているのではないかと次郎が指摘する。ゼロスーツが答える、「次郎。今の俺には、この世界が故郷だ。お前が家族だ。最後まで俺が守る! お前と、お前が生きるこの世界を!」。ゼロスーツの装甲の可変波長透過吸収機能が暴走状態となり、スーツの色がめまぐるしく変わる。頭上に浮かぶ逆さまの黒いピラミッドが内側から弾け、遂に邪神ガタノゾーアが這い出してきた。無数のゾイガーの群れを従え、現在の東京へと落下しようとしている。それを仰ぎ見るダークザギが両手を振り上げて言い放つ、「見るがいい、太古の邪神も今やわが下僕! 私こそが真なる闇の支配者!!」。「二万年早いぜ!」と叫んだゼロスーツは時空復元力を解放、全身から渦巻く波動を放った。周囲の時間が巻き戻り、瓦礫が浮き上がって道路やビルへと復元していく。上空の時空の裂け目も狭まりガタノゾーアも押し返される。「無駄なあがきです」とダークザギが時間を加速する。道路やビルは再び崩壊し、空中の上海も広がっていく。相反するパワーの壮絶な押し合いとなる。「私の力は異界から無限に供給されます。お前はそうではないでしょう……!?」とダークザギ。「試させてもらおう。無駄なあがきかどうか!」、セブンがS字型のスローイングナイフを投じる。時空復元力でダメージから回復した7人のウルトラマンはダークザギを取り囲み一斉攻撃を見舞う。それらの攻撃は時間停止によりザギ本体には届かないが、ゼロと押し合っている力は弱まり、その隙にゼロが押し返す。空中へと脱出するダークザギに7戦士が組み付くが、弾き飛ばされ空中に釘付けにされる。ゼロへの力を増すダークザギ。
その攻防を固唾を飲んで見詰める科特隊指令室の面々。「……この子をお願いします」、突如ユザレを井出に託したマヤはコンソールに向かうと全く動かなくなった。再び拮抗するゼロとザギの力。ゼロに蓄積されていた時空復元力も残り少ない。ゼロ「次郎。俺は今まで、お前のお陰で大切なものを教えて貰った。復讐しか頭に無かった俺に。誰かを守りたいと思う心だ」。次郎「何だよ今さら、相棒だろ?」。ゼロ「……行くか」。次郎「っしゃ!」。呼吸を合わせたゼロは跳躍しザギに突進する。ザギの時間停止をゼロの時空復元力が無効化し、ゼロのパンチがザギの顔面にめり込む。「この世界に、貴様の居場所はない」、その勢いで残った時空復元力をすべて解放するゼロ。「そこまで愚かとは……!!」という捨て台詞とともにダークザギの力が消えて歪曲空間が一気に閉じる。8人のウルトラマンは上空の上海もろとも消滅した。ユザレを抱いた井出が呟く、「……どうなったんだ? ガタノゾーアは? 早田や進次郎たちは?」。モニターの向こう側のレネがユザレの思考を代弁する、「すべては時の流れの渦の中に……」。ガシャン。マヤが椅子からずり落ち、床に倒れた。マヤの意識はアンドロイド01の中には存在しておらず、アンドロイド01は機能を停止していた。
瓦礫の中のゼロスーツ内で薩摩次郎が意識を取り戻す。井手からの通信を受け取るが、井出は「キミは誰だ? なぜゼロ号スーツを装着している? いったい……」と様子がおかしい。自分の上に覆いかぶさっている鉄骨や建材を押しのけ周囲を見ると、巨大な黒いピラミッドがそびえ空には無数のゾイガーが飛び交っていた。そこはガタノゾーア復活直前の上海だった。「おや、遅かったではありませんか」と黒いピラミッドを背に立っていたダークザギが、片手で首を締め上げていたティガをこちらに放り投げてきた。周囲にはボロボロに傷ついた七人のウルトラマンが倒れていた。「こいつが未来から来た最後の一人か?」とダークザギの背後からイーヴィルティガ、カミーラ、ダーラム、ヒュドラが姿を見せた。彼らはマン、ティガ、セブン、エースを引きずっていた。ゼロスーツは、自分達8人とダークザギが過去の上海に迷い込んだことに気付いた。
今月発売の HJ 10月号からです。UAU、ゼロやティガのスーツが登場するエピソード、一旦の完結です。
【キャラクターモデルほか】
・禍威獣第8号「ガボラ」 ディオラマ製作・文:山田卓司 CCP 1/8コレクタブルシリーズで第2の事件をディオラマ化 ガボラの吐く光線の楯になり施設を守るウルトラマン。
CCP 1/8スケール PVCモデル “コレクタブルシリーズ” ウルトラマン(シン・ウルトラマン) LED発光ギミック付き ¥4,988 発売中、 ガボラ(シン・ウルトラマン) ¥9,888 発売中
・ペダン星人のロボット現わる!=キングジョー レインボウエッグ レジンキット メガロ ¥38,500 9月末予 原型製作:橋本 智(痛快娯楽劇場)
・[コモリプロジェクト]「コモリプロジェクトの一躍 夢の回廊」小森陽一(構成・制作・写真:土井眞一)「TSUBURAYA EXHIBITION 2022」における展示の紹介。
・[戦隊ロボFLASH!!]DX虎龍攻神(トラドラゴンジン)
・僕こそ、絶対!
バンダイ ノンスケールPVCモデル DX虎龍攻神(トラドラゴンジン)使用 虎龍攻神 制作・文:五島 純
・Ultimate Article 宇宙刑事ギャバン メガハウス ¥39,500
【帰ってきた宇宙船H.S.S.】
・仮面ライダーギーツ紹介。
【玩具・フィギュア】
《バンプレスト》
・ウルトラマンデッカー英雄勇像 ウルトラマンデッカーフラッシュタイプ(彩色版とゴールドクリアラメの全2種) 9月予 プライズ景品
【ULTRAMAN SUIT ANOTHER UNIVERSE STORY】(STORY:長谷川圭一、設定協力:谷崎あきら)
(ULTRAMAN SUIT, SEVEN SUIT, ACE SUIT, TIGA SUIT, ZERO SUIT, TARO SUIT, DARK ZAGI, ZERO SUIT/SH 製作:只野☆慶、GLITTER TIGA SUIT 製作:Rikka、ZOFFY SUIT 製作:小澤京介)
・8U -英雄- 編 第三十四話 英雄たちよ、永遠に
「未来から、はるばるご苦労だったな。プレゼントだ」、イーヴィルティガが、引きずっていたティガを次郎/ゼロの方へと投げてよこす。既に倒れているもう一人のティガの脇へと転がるティガ。「何で……こんなことに!?」と混乱する次郎に、ゼロとは異なる声が答える、「誤差が生じたようです」。ゼロと次郎が同時に声の主に気付く。それはマヤだった。ゼロが解放した時空復元力によってダークザギと過去から召喚された上海を歪曲空間に押し戻すことには成功したが、ザギは8人のウルトラマンを道連れに引きずり込んだ。そのことにいち早く気付いたマヤは、自分にもできることがあることを悟り、アンドロイド01のボディを捨ててゼロスーツのストレージに自分を量子転送していた。「できることがあるのに何もしないのはただの罪」というのが諸星の口癖だった。その時空転送時に誤差が生じ、ゼロスーツだけが遅れてこの時空に到着したのだった。東京上空に出現していた過去の上海では、進次郎/マンの黒いピラミッド内への生体テレポートによる侵入を機に、上海壊滅と引き換えにガタノゾーア殲滅を果たせていた。しかしピラミッド内での進次郎/マンとイーヴィルティガとの対決前の時間にダークザギが到着したことで過去は書き変えられてしまっていた。イーヴィルティガが過去の進次郎/マンを投げ捨てる。マヤとゼロ、次郎との会話を聞いていた上海壊滅前の時間の科特隊指令室は、未来からの転移という事実を受け入れていた。同じIDのスーツの存在、この時間にはまだ存在していないハヤタ専用プロトスーツの完成形の存在の説明がつく。ゼットン星人エドが珍しく語気を荒げる、「当局への申請なき時間遡行、認証なき未来情報開示、既定事象の恣意的改変、すべて重大な星団法違反だ。速やかに原因を排除し、この時系列に秩序を取り戻さなくてはならない」。未来から来た者に未来で何があったかを問う井出。しかしそれに答えたのはダークザギだった「勿論、滅亡です」。最大級の重力変動が観測される。ウルトラマン達が倒れている瓦礫の山が音を立てて陥没する。スーツが軋み、生命維持機能が警報を発し、装着者達の苦悶の声がそれに重なる。
超重力で瓦礫に埋められ潰される12人のウルトラマン。ダークザギは時空復元力で自分の邪魔をしたゼロをいたぶり、動かなくなったゼロに興味を失うと邪神復活の儀式の再開を促す。その言葉に逆らい、二人のティガに自分の手で止めを刺すことに執着するカミーラをふきとばずダークザギ。ヒュドラとダーラムがカミーラに駆け寄る。イーヴィルティガはダークザギに「指導者(マスター)ザギ」とまとわりつくが逆らうことはなく、黒いピラミッドへと向かっていく。カミーラ、ヒュドラ、ダーラムもそれに続く。「邪神ガタノゾーア、美しき滅亡をもたらすもの。復活すれば今度こそ誰にも止められはしない」と見送るダークザギ。「……止める」、ダークザギの背後で声が聞こえた。「俺が……必ず……止める!」、全身を苦痛に震わせつつゼロが立ち上がっていた。ダークザギがゼロに光弾を放とうとした時、その背後から回転する何かが飛来しその体勢を崩して瓦礫に突き刺さる。D装備、大型破断刀・アイスラッガーだった。「死にぞこないなら、ここにもいるぞ」、二人のボロボロのセブンが立ち上がり寸分たがわぬ霞の構えを取って言い放つ、「言ったはずだ、必ず貴様を地獄に落とすと!」。猛然と斬りかかる二人のセブンの攻撃をかわし、反撃に転じようとしたダークザギの背後から光線や火球が放たれ、ザギは間一髪でそれをかわす。二人のティガ、二人のエース、ジャック、タロウ、ゾフィー、二人のマンが立ち上がる。軽口を叩いてこの時間のウルトラマンか未来から来たウルトラマンかを判別するジャックと北斗。ダークザギを12人のウルトラマンが包囲する。12対1ではなく12対2万5千だとダークザギが語るとともに、瓦礫の隙間、隧道、水中、いたるところから数万のゾイガーが飛び立ち、ザギに従うように旋回する。だが12人は全く怯むことはない。「二番煎じですよ、そのセリフ」「どんな絶望の中でも希望はある」「守るべきものがいる限り俺たちは戦う」「それがウルトラマンだ!」満身創痍でありながら闘気漲るその場の12人と、もう一人の心が一つに結ばれる。「光が…見える」、戦場からやや離れた緑地帯に着陸していた小型ビートルの機内では少女がじっと祈りを捧げていた。この時間のユザレである。「ありえない。こんなことはあり得るはずがない……」ダークザギを纏うダークゴーネが心の中で呟く。ウルトラマン12人は侮れない数ではあるが全員立っているのが不思議なほど満身創痍であり瞬殺できると思っていた。時間停止は使用せず12人の同時攻撃も余裕でかわし一人一人に致命の一撃を加えたはずだが、誰一人戦列から離れるものはいなかった。ダークザギは次第に圧され、無敵の鎧に初めて傷がつく。
外での戦闘の衝撃音が黒いピラミッドの内部にも響く。異形の祭壇には異界の門を開く巨大な目―ルボイア星人が拘束されている。儀式を始めようとするイーヴィルティガとカミーラ達三人衆。その時イーヴィルティガの脳裏に、回避された未来の記憶がよぎる。──「弱いな。弱いからお前は闇に心を飲まれたんだ。」「黙れ黙れ黙れ、黙れええええええ!」進次郎/マンの放ったスペシウム光線と自分のゼペリオン光線が激突・反応し真っ白な光に包まれる。── ひとり得心し「たしかに……君が正しい」と呟くイーヴィルティガ。しかし儀式は実行され、ルボイア星人の目の中に大量の重力波が送り込まれた。黒いピラミッドから火柱が立ち上ると、時空がぐにゃりと歪み異界の門が開かれる。闇の奥には爛々と光る赤い双眸、響くおぞましい咆哮、そして幾本もの巨大な触手が這い出してくる。暗黒の旧支配者・邪神ガタノゾーアがピラミッドを引き裂いて上海の街に出現した。「ようやくですか、待ちわびましたよ」と漏らすダークザギは、その巨大な姿に向かって両腕を広げ勝ち誇る。触手の一薙ぎで高層ビルが崩れ、巻貝を思わせる外殻の表面から無数のゾイガーが湧き出し12戦士に襲いかかる。「お前達がいかに抵抗しようと大いなる時の流れの中ではほんのさざ波に過ぎない! さあ怯えるがよい! 絶望するがいい! お前達の恐怖が! 狂気が! 混乱が! 邪神の糧となり私の力となるのです!!」とダークザギ。
科特隊指令室、地球人の精神力では自我を保てないというエドの忠告に従い、可視光線と音声による現地モニタリングを停止する。ウルトラマンスーツをモニタリングするオペレーターが叫ぶ「ビーコンロスト! 位置を見失いました!」「生命維持系統が機能していません」。さらに世界中からゾイガー出現の報告があがる。絶望にうなだれた井出の肩をつかみ顔を上げさせるハヤタ、「俺達が希望を捨ててどうする!」。上海の小型ビートル内にいるユザレの声も響く、「そのとおりです。目を逸らさないで見て下さい彼らの姿を、聞いて下さい彼らの声を、世界中に届けて下さい彼らの戦いを──」。井手の表情が変わり、映像と音声の現地中継を通常に戻し、通信制限・報道管制を解除し各方面に通達することを命じる。とまどうオペレーター達に、自分が全責任を負うと激しい剣幕で答える井出。12戦士の戦いが全世界に同時中継・同時配信され始める。いかに打ちのめされ叩き伏せられようとも立ち上がり戦い続けるその姿に、世界中の視聴者に変化が起きる。闇に怯え目を伏せ耳を塞ぎうずくまっていた人々は、拳を握り息を弾ませ立ち上がって空を見上げるようになった、負けるな……頑張れ……はね返せ……俺達が付いてる……!! ユザレは光が広がっていくことを感じる。
恐怖が絶望が集まらないことに動揺を隠せないダークザギ。ゾイガーの一群を屠ったゾフィーが答える「当然だ。我々も人々も誰も恐がっていない。誰一人絶望していないんだからな」。その左右にウルトラマンが集結する、「俺達はお前など恐れない!」。中継を見詰める人々が一斉に歓声をあげる。ユザレが目を閉じ意識を集中する。後にデュナミストと呼ばれることになる、この時系列のルネや姫矢 准やセラ等千人以上の人々が、ユザレのメッセージを受け取り理解する。まだ希望はある、世界は滅んだりしない、その希望とは自分達自身なのだ、と。ダークザギが再び超重力を発動する。12戦士が地に這わされ、その上にゾイガーの群れが折り重なり石化する。戦士の苦悶の声があがる。「立て、ウルトラマン! 諦めるな!!」、世界中のデュナミストと、彼らに呼応した人々が声援を送る。科特隊指令室のモニターに、世界中の人口密集地から幾億もの金色の光が上海に集まる映像が、地上観測衛星から送られてくる。
超重力に圧し潰されながらも立ち上がろうとする12戦士。さらに重力を強めるダークザギの背後に儀式を終えたイーヴィルティガとカミーラ等三人衆が集結する。攻撃に加わることを促すダークザギだったが、四人の闇の波動はダークザギに向けられた。「最初は好都合だと思ったが、どうにも貴様とは馬が合わん」とイーヴィルティガ。ダーラムがダークザギの右腕を、ヒュドラが左腕を押さえ、カミーラが光の鞭をダークザギの首に巻き付ける、「ダイゴを殺すのは私だ。お前には三千万年早い」。イーヴィルティガがダークザギに顔を寄せイーヴィルフォークを突き付ける、「貴様にこんな上等なスーツを着る資格はない。雑巾(ダスター)ザギ」。叛逆を受けダークザギが超重力を四人にも振り向けた。ユザレが目を見開き、世界中から集まった光が収束し12戦士に降り注ぐ。光に触れたゾイガーは紙のように燃え上がり、石化し戦士を覆っていたゾイガーの骸は蝋のように融け落ちる。ウルトラマン達の身体も光を放ち始める。二人のウルトラマン、二人のセブン、二人のティガが一つに重なり一体化する。科特隊指令室にいたハヤタも光に包まれて姿を消し上海のゾフィーと一体化した。神秘の光景を目にし息をのむ井出達、「これが……光」。一体化したウルトラマン達は、混乱もなく二つの記憶に矛盾を感じることもなく思考も鮮明だった。8人となったウルトラマン達が立ち上がる。ティガは超重力で砕ける寸前のイーヴィルティガに離れるように告げるが、「馬鹿を言え……こいつを潰したら、次はお前達の番だ……覚悟しておけ!」と離れず、三人衆も同じだった。ガタノゾーアの咆哮による超衝撃波が超重力に加わる。「邪神が復活した今、私の闇の力は無限です」とダークザギ。「闇が無限であるように、光もまた無限です」、いつの間にか8戦士の上空に浮かんでいたユザレが反論する。ティガがユザレを制止するが、「ダイゴ大丈夫。これは私一人の力ではありません」と静かに微笑んだユザレは自分も一条の光となってティガスーツに吸い込まれた。光凝集装甲が金色に染まり強く発光するティガスーツ。「そんなコケおどしなど」とダークザギが再び見舞う超重力を、ゼロの放つ光の渦が押し留める。ゼロスーツに宿る戦士の持つ時空復元力は既に使い果たしており、帰るべき世界が失われているダイゴとユザレには復元力はない。時空復元力を発揮したのはマヤだった。そもそも邪神復活の儀式を契機に始まったダークゴーネの地球侵略の下部部隊の先兵として地球に送り込まれたマヤ、先程まで過ごしていた時間線がいつの間にかマヤが本来存在していた世界とはズレてしまっていたのだった。諸星とマヤはそのことに気付いており、ダークザギに8戦士が道連れにされた時、マヤは時空復元力を発揮できる可能性を感じて自身をゼロスーツに転送したのだった。ここが好機と全力攻撃の姿勢に入るウルトラマン達。「スーツ機能を最適化します。システムロック解除。フェアリングフルオープン!!」とマヤ。ゼロスーツの装甲に組み込まれた可変波長透過吸収機能が限界を超え金と銀に輝き、各部のカバーが開いて熱と光の粒子を放出する。時空復元力超解放モード── ZERO SUIT/SH である。進次郎はリミッターを解除しスーツの装甲表面が赤熱する、「この3分で全部終わらせる!」。
ダークザキが吠える。「こんな茶番は飽き飽きです。闇も光もどうでもいい。恐怖も絶望も興味はない。この上は私自身が邪神と一つになり、森羅万象すべてを混沌に帰せしめましょう!」自分に組み付いている四人を抱えたままガタノゾーアの口の中に飛び込むダークザギ。ガタノゾーアの、ビルをも砕く触手は音速を超え、魂を揺さぶる咆哮は稲妻を伴い、全身から染み出す瘴気は触れれば即死する猛毒を含んでいる。8戦士の攻撃はいっこうに効いている様子がない反面、ガタノゾーアの攻撃を受けるウルトラマン達はスーツの外装が砕け複合装甲が弾け飛び、皮膚が裂け骨が軋み血煙が上がる。しかし誰も倒れず攻撃も休むことはない。2分過ぎた頃には全員の連携により、ガタノゾーアの眉間に露出したダークザギにティガを肉薄させていた。「ありえない! 何がお前達をそこまで……!?」「愚問だな。強いて言うなら──」ティガは振りかぶった右腕に備わる防楯の表面に刻まれたマーキングが目に入る。「GUTSだ!」未来からやって来たダイゴの記憶が蘇る。それは科特隊にスーツの修復を依頼し、TIGA(Tricolor Indivisual Guard Armor)というコードネームが与えられた時、自分が思い付きで発した言葉を受けて名付けられた科特隊としての所属コード GUTS(Group of Ultraman TIGA Suit) だった。ティガはその台詞とともに渾身のストレートをダークザギの顔面に叩き込んだ。ダークザギの身体はガタノゾーアの眉間をぶち抜きその体内深く沈んでいった。邪神の動きが止まる。ティガとゼロを中心に8戦士が集結する。全員見るも無残な姿だが士気は微塵も衰えていない。ゼロは両手にゼロスラッガーを握り、傷つき歪んだ胸部装甲を自ら抉り捨て、露出したスペシウムコアから極大の時空復元力をガタノゾーアに放つ。金色に輝くティガも胸のクリスタルから光の奔流を放つ。残る6人のウルトラマンも最大の攻撃を放つ姿勢をとる。ガタノゾーアの体内でこの時空からの脱出を図るダークザギだったが、その手足にイーヴィルティガと三人衆が組み付く。「どこへ行く」「逃がさないよ」「ユー・アー・マイ・フレンド」「キハアアアアァッ!!」 2分57秒。8戦士の一斉攻撃がガタノゾーアに炸裂、その中心に開く異界の門にまで到達する。上海一帯を熱も圧力もない光芒が包み、邪神もウルトラマン達もその光の中に溶けていった。
薩摩次郎は、青空の下、太陽の光を受けて輝く威風堂々とした鋼鉄の巨大ピラミッドの前に立っていた。ダイブハンガーの完成に感慨深い次郎の顔に笑みがこぼれる。「よくやったな、次郎」傍らに立っていたのは数年前に病魔により他界した父親だった。「立派に成長した。お前は自慢の息子だ」「俺……父さんと一緒に作りたかった。人を幸せにする夢の城を」「そうか。でもお前は一人じゃないだろ。ともに苦しみ、ともに笑い、ともに頑張れる、仲間がいる」「……うん」「ありがとう、次郎。この世界を救ってくれて。みんなの未来を、夢を、守ってくれて」
「次郎」名前を呼ばれ目を覚ます次郎。振り向くとそこにはゼロスーツが立っていた。そこはまっ白い空間で、周囲を色とりどりの光の奔流が網の目のように絡み合いながら無数に流れており、それはまるで大樹の枝か毛細血管か末梢神経かのようだった。「時の分岐点です」と、ゼロの傍らにいた白いケープの少女・ユザレが言った。その背後にはダイゴとマヤの姿もあった。ユザレが語る「時間とは川の流れのようなもの。分岐することもあれば合流することもある。近い流れの中では近い事象が起こっている。ほら、あの一つ一つが異なる宇宙です。そこにもあなたがたのような人たちがいて何かを守るために戦っているのかもしれません。」次郎はこの場所が時空の分岐点であるということを理解した。ガタノゾーアとダークザギを消滅させれば、上海は消滅せず時空歪曲点も生まれずゼロやマヤがこの世界に来ることはない。自分達の行動が歴史を書き変えてしまい、大切な仲間達との別れを招くことを覚悟の上で、世界を守ることを選択したのだった。次郎の背後にはハヤタ、進次郎、諸星、北斗、ジャック、光太郎もいて、別れの瞬間を無言で待っていた。ゼロがまた次郎の名を呼び、お前に出会えて本当によかった、お前に大切なことを教えてもらった、と言う。ゼロは、もう一つ、人を好きになることも教わったといい、次郎がアンナを好きであることを場違いに指摘する。その場の全員が思わず笑顔になる。「俺もゼロに出会えて本当によかった。……ありがとう」と次郎は手を差し出す。「ありがとう。次郎。お前のことは忘れない」ゼロが次郎の手を握る。最後の握手だった。ダイゴが一歩前に出、進次郎と向き合う。ダイゴの行く先を案じる進次郎にダイゴが言う「戻るべき場所はなくても俺達の生きるべき場所は必ずある。そこで俺は生きる。仲間達の思いと共に」。「がんばってください」「進次郎、お前もな」ダイゴと進次郎も最後の握手を交わす。マヤが諸星の前に歩み出る「……ダン。あなたにこうして会えたことは奇跡だと思う。神様がくれた宝物のような時間」。「僕は神など信じない。だけど、目に見えない大きな力は感じる。その力が僕たち二人を繋いでいる。とても深い部分で。だから……僕たちはこれからも一緒だ。たとえ離れていても、互いの存在を感じることができるはずだ、必ず」。マヤが微笑む「そんなにあなたがしゃべるとこ、初めて見たかも」。ユザレが告げる「そろそろ時間です」。ゼロ、ダイゴ、マヤと消えていく。次郎「さよならゼロ」、ゼロ「元気でな次郎」。進次郎「さよならダイゴさん」、ダイゴ「もっと強くなれ進次郎」。マヤ「さよなら……ダン」、諸星「マヤ……ありがとう」。「私の最後の力は、あなた方を本来の時系列に戻すため、使います」とユザレ。「ユザレ、そんなことをしたら、君は……」と心配するハヤタに「大丈夫です。私はダイゴと共に生きます」と微笑むユザレ。残された7人が眩い光に包まれる。その光の中でユザレの声が聞こえた「英雄たちよ、永遠に」。
7人は、最初にベイエリアの造船所で北斗が襲撃された前日の、その時自分が存在していた場所に戻っていた。一連の戦いの記憶はあるが、ジャックの提案で口外しないことを決めていた。エドの言う星団法抵触の恐れもあり言わぬが花だと考えたのだった。この先、邪神復活に繋がる事件も起こらずダイゴとユザレがこの世界を来訪することもないことはわかっていた。薩摩次郎と東光太郎の消息はつかめていなかった。この世界線ではまだ何の接点もない一般市民の行方を追うことは不自然であり、科特隊のリソースを使った追跡は行っていなかったからだ。次郎はアンナと共にクレーン作業員として忙しく働いていた。光太郎は今度こそ親友の命を救おうとニューヨークである事件を追っていた。そして諸星は、どこか遠く離れた場所で本来の自分を取り戻したに違いないマヤの存在を、はっきりと感じることができていた。諸星はマヤとはいつかまた会えると信じていた。
数か月後、トレーニングジムの隣りのロッカールームに進次郎が入った時、諸星が私用携帯での通話を慌てて切った。入室してきたのが進次郎だということを知って安心した諸星は、進次郎に尋ねられジャックとの情報交換だったことを告げる。そこに井出からの緊急招集が入る「たった今、ニューヨークに正体不明の球体群(スフィア)が出現した」と。
・ULTRAの奇跡 UAUフォトストーリー中に登場するグリッターティガスーツとシャイニングウルトラマンゼロスーツの作例解説。
> BANDAI SPIRITS ノンスケールプラスチックキット “Figure-rise Standard” ULTRAMAN SUIT TIGA -ACTION-(¥3,300 9月予)使用 GLITTER TIGA SUIT 製作・文:Rikka
成型色に沿って、パープル部→スターブライトゴールド(濃いめで鮮やかな金)、レッド部→Mr.カラー8番ゴールド(少し薄めの金)、シルバー部→チタンゴールド(薄めの金)、グレー部→ヴィクトリーゴールド(濃いめでソリッドな金)と塗装。フォトストーリーでは使用されていないゼペリオンスピアもグリッター塗装版を作成。
> BANDAI SPIRITS ノンスケールプラスチックキット “Figure-rise Standard” ULTRAMAN SUIT ZERO -ACTION-(¥3,200 発売中)使用 ULTRAMAN SUIT ZERO/SH 製作・文:只野☆慶
原作者によるデザイン画に沿ってゼロランスまで塗装。UAU中の胸部外装をパージしたスペシウムコア開放状態を再現するためのエッチング加工風胸部は、モデルの上側から装着できるように制作。
【洋画情報】(「SF MOVIEハイスピードNEWS!!」より) MCU、皆さん追っかけられてますのでしょうか? 私はフェーズ4~6のラスボスがカーンだと公表されてもわかっていません…
サンディエゴ・コミコンでのマーベル・スタジオからの発表によると、MCUは:
・フェーズ4は、『ワンダビジョン』~『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ホリデー・スペシャル』(12月配信予ドラマ)。
・フェーズ5は、映画6本・ドラマ6本。『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア』(23/2月公開予)、『シークレット・インベージョン』(23春予ドラマ)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』(23/5/5米国公開予)、『エコー』(23夏予ドラマ)、『ロキ』シーズン2(23夏予ドラマ)、『ザ・マーベルズ』(23/7/28米国公開予)、『ブレイド』(23/11/3米国公開予)、『アイアンハート』(23秋予ドラマ)、『アガサ:カヴン・オブ・カオス』(23冬予ドラマ)、『デアデビル:ボーン・アゲイン』(24春予ドラマ)、『キャプテン・アメリカ:ニュー・ワールド・オーダー』(24/5/3米国公開予)、『サンダーボルツ』(24/7/26米国公開予)。
・フェーズ6は、24秋予ドラマ、『ファンタスティック・フォー』(24/11/8米国公開予)、24秋予ドラマ、24冬予ドラマ、25/2/14米国公開予映画、25春予ドラマ、25春予ドラマ、『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ』(25/5/2米国公開予)、25/7/25米国公開予映画、25夏予ドラマ、『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』(25/11/7米国公開予)というラインナップ。
・全体を総称して「マルチバース・サーガ」。それを締めくくる2本のうち『アベンジャーズ/ザ・カーン・ダイナスティ』は『シャンチー』を手掛けたデスティン・ダニエル・クレットンが監督、ラストの『アベンジャーズ/シークレット・ウォーズ』はまた別の監督となる模様。
一方DCは、ポスプロ中だった『バットガール』が製作中止。ワーナーグループとディスカバリーグループとの統合作業中のためのコストカットが理由とのこと。『ジョーカー』の続編は24/10/4公開が決定。
【次号 2022年11月号】9/24(土)発売。¥1,100。
月マガの『仮面ライダーSPIRITS』も3号分を。大首領が地上に復活して一年ほどでしょうか、来月くらいからようやく決戦モードかも、ただし東北でもう一イベントありそう…
【月マガ】2022年8月号より。
・新仮面ライダーSPIRITS(連載第151話):
9人の仮面ライダーが発した情報を、スーパー1のレーダーハンドから放たれた2基のレーダーアイが中継する。スペースシャトルのセルゲイが、仮面ライダーからの情報を人工衛星ラケシスへと中継することに成功し、作戦の第二段階に入ることを報告する。バダンの竜がオーロラに侵入したことから、限りなく急いで限りなく正確に、と無茶な指示をする緑川ルリ子。バダンシンドロームの抗体情報を地球全土に降り注ぐためにはラケシスからあと二つの人工衛星も起動する必要があった。繋ぐ神クロートーは円盤型の人工衛星で、円盤部には大小の多くのアンテナが装備され、周は指輪のようになっており女神の顔の像がある。断ち切る神アトロポスは旗の両側に旗竿が付いたような形状で、旗の部分に女神の横顔の像があり、二本の旗竿にそれぞれ三重のアンテナが刺さっている。情報集積と衛星制御の中核処理を担っているのはスーパー1である。何故かクロートーとアトロポス側からラケシスへのアクセスがあり、状況把握に悩む司令部一同。スーパー1も不穏な感覚を感じるが、銀河王の破壊された頭部にはもう意識は感じられなかった。1号から意識の集中を促されたスーパー1だったが、その時ラケシスが攻撃を受けていることを感じる。二つの棍棒を柄どうしでつなげたような形状のラケシスの複数の箇所から同時に火の手が上がる。ほどなくラケシスは爆発四散した。同時にクロートーとアトロポスとの接続も失われる。
中断するライダーシンドローム。阿修羅谷の2号は腰を落としボタボタと血を流す。その様子を心配する1号も思わず膝を付く。飛行する奇岩山ピラミッドのV3、X、アマゾン、ストロンガーもライダーシンドロームの想像以上の反動に動けなくなっている。阿修羅谷、マシンに跨ったままヘルメットがショートを続けているライダーマンは、ラケシスがハッキングされて自爆装置を作動されたことを看破する。衛星軌道上、自分に「かつ」を入れどうにか動くスカイライダーだが、スーパー1の意識がないことに気付く。しかしスーパー1からシャトルのセルゲイに通信が入る。SPIRITS基地では、科学者達が緑川ルリ子に作戦は失敗に終わったのではないかと詰め寄る。まだ衛星は二つ存在しておりバダンの竜の動きもないと反論するルリ子。隣りのアンリが大首領が空中に浮遊していることを報告する。阿修羅谷の地上に立花藤兵衛と共に立つ滝もその様子を双眼鏡で確認していた。この世界では空中飛行能力を持たないはずの大首領が空中に静止していることに衝撃を受けるライダーマン。
銀河王はボディこそ破壊されていたが、アトロポスが地球の陰から姿を見せた瞬間からそれを観測しており、ライダーシンドロームに紛れて、意識をアトロポスに転送させていたのだった。そしてアトロポスからラケシスをハッキングし爆破した。大首領復活の兆しを知った今は、残る二つの衛星も破壊し人類に絶望を与え大首領に喜びを贈る好機だと感じていた。銀河王の振る舞いに気付き、セルゲイのサポートでアトロポスに自分の意識を転送したスーパー1が電脳空間で銀河王を攻撃する。しかし、この広大な電脳空間で、神が造り銀河を旅してきた自分に、人間が造ったものの性能では付いてこれまいと言って姿を消した銀河王は、アトロポスをも爆破してしまう。
3基中2基の人工衛星を破壊され、さすがに苦渋の表情となるルリ子だったが、ずっと続いていた地震が止まったことに驚く。阿修羅谷の氷上に仰向けになっていた巨大なクジラが意識を取り戻したかのように動き始め氷を割り正姿勢となって海へと戻って行った。フレイアやがんがんじいも外に出て空を見上げる。札幌の村上千弘たちや、讃岐職人屋本舗の面々や、青森の高校生たちも地震が止んだことに驚き、ある者は喜ぶ。SPIRITS基地地下に避難しているライダーガールズも戸惑いを見せる。指令室の科学者陣の中には楽観論を唱え始める者も出るが、ルリ子は嫌な予感しかしないと言い捨てる。
空中に浮遊し地球自体と対話していたかのような大首領。全身の傷が徐々に修復されていく。遂に地球自体を屈服させた模様で、大気の成分が変質し始める。風の生気が消えかけていることを感じ取った1号と2号は、大首領との決着を急ぐために氷柱を上へ上へと昇っていた。空のオーロラが結合するように大気中にバダンの竜が発生する。「ついに起こさせてしまったか…」と呟くライダーマン。海堂博士に見守られる、ベッドに寝かされたルミは、うなされているようである。
【月マガ】2022年9月号より。
・新仮面ライダーSPIRITS(連載第152話):
[センターカラー:扉絵:32巻通常版のカバー絵と同じ]
電脳空間を移動する銀河王は、ライダーシンドロームに必要な人工衛星3基のうち、測る神ラケシスと断ち切る神アトロポスを破壊したことで勝ち誇り、最後の紡ぐ神クロートーも破壊することで人類の反逆の道を閉ざそうとする。いまやオーロラが網の目のように全体を覆っている地球、その網の目はバダンの竜へと姿を変えていた。
阿修羅谷上空にも出現する竜。SPIRITS隊員も侵されていく。隊員の一人が突然銃で自殺する。自殺すべきではなく竜に食われるべきだと力説を始める隊員二人の頭を叩き「バカヤロウ。気合入れねえか」と言う滝。滝は「目 覚ませ。ありゃあ敵だぜ!!」と叫ぶ。地に伏せ苦しむ立花藤兵衛。抑制ギアのスイッチを入れることを全員に指示する滝。鳥海は自殺した隊員のヘッドギアを取り外し、藤兵衛に被せる。
ライダー達もバダンの竜の凄まじい群れを見上げる。大首領を追っていた1号と2号の目に、阿修羅谷の天を指すかのような氷柱群が動き大首領の立つ塔とその座を形成する様が映る。その先端に立つ大首領の全身を庇うかのように鳥が集い、あるタイミングで一斉に飛び立っていく。その時には大首領のボディは完全に修復が完了していた。
ニューヨークのブリジットは、向かいのビルから次々と人が飛び降りていく光景を目の当たりにして耐えきれず、国連ビル内でカフェを営むホプキンスに電話をするが、そちらでは所員たちが銃撃を始めておりホプキンスも命からがら隠れているところだった。なぜか自分自身も無意識にベランダから飛び降りそうになっており、ギリギリで手すりを掴んだブリジットだが、夜空に舞う竜の群れを見上げ正気を失う。スペインのコスタ・デル・ソル郊外の港でも、早く自分の魂を食ってくれとバダンの竜に願いながら海に飛び込む者が続出していた。グレコ爺さんも死んだ息子ドメニコが呼んでいると言いながら歓喜の表情で海に入ろうとするところをどうにか止められる。南太平洋の島、夜空に流れる何本もの川のような竜を仰ぐ住民たちは、あなたの迎えを待っていたと口々に口走る。年老いた祖父を羽交い絞めにして目を塞いで止めるヒナウ。東南アジアの仏教遺跡の近くでも、空をバダンの竜が埋め尽くす。バダンシンドロームに苦しむ女医・真美は、バダンの存在を知っているという体験は精神的免疫となってバダンシンドロームから守ってくれると隼人から聞かされていたのに自分がこの状態だということは、想定を遥かに上回る事象が起きているのだと考えていた。SPIRITS隊員に猿ぐつわをされ両手をしばられるがんがんじいこと矢田勘次。屋外へと殺到する大勢の避難民を自分の能力で沈静化するフレイアは、その限界に近そうな様子を見てフレイアへの負荷を心配するSPIRITS隊員をよそに、夢の島基地のことを真剣に心配していた。
SPIRITSの夢の島基地、既に何人かのSPIRITS隊員と科学者は倒れている。机の引き出しからバダンシンドローム抑制ギアを取り出し装着しようとする一人の科学者がいた。残さた人類の可能性となる自分たちの頭脳を守るために医療班の抑制ギアを自分たちに回すべきだと言い出す科学者もいた。ルリ子は席を立ち、抑制ギアを取り出した科学者の頭にギアを装着し起動してやった。「これで安心したのなら……後はJUDOって神に祈るといいわ…… これで生かしてくれますように…ってね」という静かではあるが辛辣なルリ子の物言いに気圧され腰を抜かす科学者。コンソールの席に戻りながら「まだ最後の女神は破壊されていない。諦めないわ」とルリ子、それに「はい」と答えるアンリ。(許しはいらない。これは神に抗う為の作戦なのだから)と決意を新たにするルリ子。
完全に回復した大首領に飛びかかる1号と2号。
【月マガ】2022年10月号より。これが最新号です。
・新仮面ライダーSPIRITS(連載第153話):
奇岩山ピラミッド内部、コアと思われる箇所に侵入したSPRITS 10分隊の面々は装置とも生体ともつかないその内部に銃撃を浴びせる。しかし鼓動のような脈動とともに再生していることを感じる。
ライダーシンドロームの余波で横になったままのストロンガーは、一番ダメージが少ない状態でライダーシンドロームに入った自分の現状から他の、ライダーへの負荷を想像する。うつ伏せになったまま苦しんでいるアマゾンに「無理をするな。今は温存するんだ」と声をかけながらも作戦再開を危ぶむXライダー。その目の前で、再び岩肌からコンバットロイドが生み出され始める。生み出されたコンバットロイドの群れがV3を包囲する。奇岩山と一体化したマシーン大元帥の中枢部は破壊したはずなのに、どこからエネルギーを供給されているのかをいぶかしむV3。
完全に傷の癒えた大首領に飛びかかる1号と2号。大首領の背後に控える竜の目が激しく輝き、1号と2号を包む。地上のSPIRITS隊員が殺してくれと言いながらさまよい始める。
青森、SPIRITS 8分隊が駐屯する地下の避難所。落ち着いていたバダンシンドローム患者が一斉に重症化した上に新規発症者も増えておりパニックとなっている。義経の車椅子を押す赤心少林拳の一派が避難民の鎮静化を手伝う。義経も、赤心寺が焼け落ちてからずっと居候している身としては食わしてもらった分は命で払わんとな、と積極的な協力を命じる。ツンツンに高く立てた金髪か銀髪にコートの男とすれ違い何か違和感を感じた義経だったが、車椅子だということもあり、そのままになってしまった。その男が右手を突っ込んだポケットはほのかに光っているように見える。
1号と2号が大首領と戦う地点へとマシンで急ぐライダーマンを追いかけるかのようにバイクに乗った滝が現れる。これ以上竜に近づいては危険だと言うライダーマンだったが、だからこそヘリを道連れにするわけにはいかないから、と戦闘ポイントへと急ぐ滝。一方ライダーマンは停車する。唸りをあげて何らかのエネルギーを放つライダーマンの右腕。
1号と2号が大首領の顔面に同時にパンチを放つ。その様子を見ていた滝、ルリ子、アンリの顔色が変わる。手ごたえを感じたダブルライダーは攻撃の手を緩めず畳み掛ける。しかし1号が殴り蹴っているのは2号、2号が殴り蹴っているのは1号であり、二人の傷はどんどん深まり血塗れになっていった。100%回復したわけではない大首領だったが、これくらいの感覚支配はお手のものだった。自分は微動だにせず殺し合う1号と2号を見下ろす大首領。あまりもの事態にルリ子も動けない。指令室の科学者たちはパニックになっている。
奇岩山ピラミッドでは大量に生産され始めたコンバットロイドの群れの迎撃で、V3もXもアマゾンもストロンガーも、とてもライダーシンドロームを再開できる状態ではなかった。
バダンシンドローム抑制ギアを最大出力にしても意識を失いそうになる中、重なり合う氷柱の上をバイクでクライミングしていく滝。戦っている相手に止めを刺そうとお互いに飛びかかる1号と2号。微かに笑う大首領。交錯するダブルライダーの必殺パンチの間にバイクから飛び込む滝。1号と2号のパンチは同時に滝のヘルメットにヒットする。ヘルメットが砕ける中、「喧嘩…やめろって、馬鹿クセェ。おやっさんにドヤされちまう…ぜ」と呟く滝。滝を認識する1号と2号。ヘルメットとともにバダンシンドローム抑制ギアも破壊され、さらに増したバダンの竜の光を浴び、眼球が反転し落下していく滝。その様子を悲痛な顔で見詰めるルリ子、アンリ、科学者陣。
何の感情もなく直立したままの大首領は体内に違和感を感じる。大首領の背中に小さな穴のような傷が開く。その周りに小さな傷が数個増えると、それらの傷が一個につながりそこからレーザー光のような黒い光が噴き出し長く長く伸びる。その光は大首領の背後にいたバダンの竜の右目を貫くと、そのまま左へと動き、竜の頭部の上半分を斬り落としてしまった。正常な意識を取り戻し滝を案じる1号と2号。大首領の背を突き破って天高く伸びる黒い光は、上空でその先端が墨塗りされたバイクのような形状を成す。落下した滝を受け止めていたライダーマンは「…やっと 気付いてくれたか」と呟く。黒い光の先端のバイクの形状をした闇、その表面を覆っていた黒い闇が布が破れるかのように剥がれていき、その内部からフロントカウルの下に三影/ツクヨミの頭部を置いたヘルダイバーが姿を現した。「…そうか、謀りおったな ユウキジョウジ」とうらめしげに呟く大首領。「頼む…間に合ってくれ」と呟くライダーマンのヘルメットにはショートしたかのように電流が走っている。
ベッドのルミが突然目を覚ます。周りのバダンシンドローム患者も急に症状が消える。ルミが海堂博士に告げる「良さんが帰って来る…」と。
黒い光が伸びその中からヘルダイバーが出現した背の傷を必死で塞ごうとする大首領。ヘルメットから刃の欠けたパワーアームを経由して送り込む波動で、その傷を開き続けようとするライダーマン。ライダーマンは、地上に出現した大首領の背に開いていた傷をその形状から虚無の牢獄においてZX穿孔キックにより貫かれたものだと看破し、ZXが穿った穴にパワーアームの破片を縫い付け、そこに思念体として大首領と渡り合った経験もある波動を送り込んでいたのだった。「近く」にいることは解っているZXに出口を示すために。しかし大首領が背の傷の修復に力を注ぎ、傷が塞がり、ライダーマンヘルメットは爆発し砕け散る。「塞いでやったぞ…跡形もなくな」と笑う大首領だったが、黒い剣の先端のようなものが大首領の背から顔を見せ、それが一直線に下に降りていく。縦に真っ二つに裂けた大首領の背から、真っ黒い人影が、羽化するかのように出現する。